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近藤 貴
プラズマ・核融合学会誌, 76(9), P. 888, 2000/09
電磁波の散乱波長がデバイ長より大きい場合の散乱現象。その散乱波長域で熱揺動以上の波動・乱れが励起されている場合は、そのスペクトル測定に用いられる。他方、熱揺動の場合の散乱スペクトルはイオンを遮蔽する電子群の協同(集団)運動のドップラーシフトを受けて、電子とイオンの双方の速度分布関数を反映する。後者を利用して、1970年代にはCOレーザーなどを用いてイオン温度計測の一手法として開発されたので、イオン・トムソン散乱とも呼ばれる。近年、核燃焼プラズマの粒子計測法の有力な候補として見直され、光源としてジャイロトロン(ミリ波)あるいはCOレーザー(波長10.6m)を用いて研究が行われている。前者は、JETで高エネルギー粒子を対象として測定が行われて(波長2.1mm)、TEXTORに引き継がれている。散乱角が大きくとれるが、プラズマ中の屈折のため散乱場所を同定する必要がある。後者はJT-60Uで開発が進められており、波長が短いため小角散乱にする必要があるが、屈折の問題は無く散乱場所の同定は容易。
西谷 健夫; 朝倉 伸幸
プラズマ・核融合学会誌, 70(6), p.581 - 588, 1994/00
1991年に、JETで世界で初めてトリチウムを使用したトカマク実験(トリチウム燃料比約11%)が行われたのに続き、1993年12月には、TFTRにおいて、トリチウム燃料比が約50%の本格的DT燃焼実験が行われた。この実験では、プラズマ電流2MAのDプラズマに7本のトリチウムNBIと4本の重水素NBI(合計約30MW)を入射することにより、中性子発生率2.310n/s、核融合出力6.2MWを得た。本稿では、このTFTRのDT実験の結果を中心にして、核燃焼プラズマ実験の現状および問題点について述べる。